あなたに合った治療法をご提案
目次
検査の結果はすぐ知りたい
血液の迅速検査とは、当日に行った血液検査の結果が1時間程度でわかる検査のことです。
血糖値やHbA1cと必要最小限の血液検査の結果をその場で知ることができます。
「振り返るチャンスを次の月まで持ち越さない」これが迅速検査のいいところです。
その場でこの1か月を振り返ることができると「よし、来月もぼちぼちがんばろう!」という気になるから不思議なものです。迅速検査でカバーできない大事なこともあります。
たとえば“インスリンは適切に分泌されているだろうか” “食後の血糖スパイクが心配なんだけど。。。”などは迅速検査で測りきれません。迅速検査に加えて時々精密検査(結果は後日にわかります)や血糖自己測定などを組み合わせて立体的に検査をすすめていくことも大切です。
血糖の流れをつかむ
「健診の前日は夜9時までに食事を済ませ当日は朝食を摂らないでお越しください」
健康診断を受けた方ならご存じのフレーズでしょう。でもなぜそんな面倒なことをしなければならないの?の答えまでご存じの方はあまり多くはありません。
その面倒は食事によって影響を受けてしまう血液検査項目があるためなのです。
血糖検査はその一つです。血糖値はたとえ何も食べなくても1日のなかで上がったり下がったりします。
食事をすれば誰でも上がります。そして時間が経てば血糖値は下がっていきます。
誰でもそうなりますが糖尿病になった人、糖尿病予備軍と言われた人ではその上がり下がりの振れ幅がかなり大きくなってしまうのが困ったところなのです。それが「糖尿病合併症」へとつながってしまうからです。
糖尿病合併症で困ったことにならないためには、この血糖の振れ幅をコントロールすることが大事になってきます。
空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値からだけではうかがい知れない血糖の振れ幅があることを知っていただきたいと思っています。
この振れ幅のコントロールが糖尿病治療のとても大事な部分でもあるのです。
SMBG(自己血糖測定)という方法でその振れ幅をとらえていきます。
主にインスリンをはじめとした注射による糖尿病治療を受けてらっしゃる患者さん取り入れている方法ですが、当院においては内服の患者さん、内服をしていない2型糖尿病の患者さんにも積極的にこの方法を取り入れています。
ぜひ外来にお越しください。そういうお話を外来でお伝えできればと思います。
運動するといいことあるの?
『きょう病院でさ、運動しないとダメですよ、って看護師さんに怒られちゃったよ』
『センパイ、そんなの当り前じゃないっすか。ダメですよ今頃そんなこと言ってちゃ!』
『でもさ、なんで運動すると糖尿病が良くなんのかお前知ってるか?』
『そんなの当ったり前ですよセンパイ! 運動するとね、血糖ってのは下がるのが相場ってもんですよ』
『そういうもんか!でもさ、なんで運動すると血糖って下がるんだ?』
『それはですねぇ。。。。ええっと、その、、なんだ、、、(汗)』
『それとさお前、寝てる間は運動できないじゃんか。寝てるときの血糖はどうしたらいい?』
『ううっっ、センパイ、イヤなとこ突いてきますねぇ。そういうのは病院に行って聞いてきてくださいよぉ(涙)』
そうです、ぜひ病院で相談してみてください!
さらに一歩進んで
「血糖を一時的に下げるためだけに運動をするの?」
「寝てる間は何も食べてないのになぜ朝の血糖は上がってるの?」
などの疑問に「なるほど、そうだったのか!」となるように納得のいく説明を積み上げ
ていく。
そういう外来を目指しています。
おいしく食べて元気になろう!
最近外来でよくみなさんからこのようなご質問を受けます。
『糖尿病になると食べてはいけないものが多くなると聞くのですがほんとうですか?』
答えは『そんなことはありません』です。
もう少し正確に言うとすれば
『どのくらいまでなら食べてもいいのか?』
『どういう食べ物,どういう食べ方なら血糖コントロールを乱さないのか?』
『そのなかで満足いく食事をするには具体的にどういう工夫が必要なのか?』
そんなことを知ってほしいとお答えします。
そのように言うと
『でもいままで受けた栄養指導ではカロリー制限を厳しく言われるので
数回通っただけで心が折れてしまったんですけど。。。』
という返答が返ってくることがあります。
う~ん,これはちょっとショックというか残念です。
何がどうしてしまったのでしょうか。
もとより栄養指導は何かの罰ゲームでも罰則でもありません。
栄養相談はもっと良いもので楽しいものです。
『何を食べてはいけないのか』
ではなく
『何をどこまで食べても大丈夫なのか』
を学ぶ場所ではないかと思っています。
食に関する知識がついて自分の食生活にも自信が持てる。
そうなるための知識と実践を学ぶとても役に立つ場なのです。
そういう視点で栄養相談に臨んでいただければきっと楽しく続けられるのではと
思います。
当院の患者さんの多くは脱落することなく継続的に栄養相談に参加されています。
毎回何かしらのトレーニングを受け,新しい知識を得て楽しそうにされています。
みなさんにもぜひ当院の栄養相談を知っていただきたいと思います。
コツをつかんで楽しい食生活を送ってほしいと願っております。
注射のいろいろ
注射と言えばインスリン、というイメージがあります。インスリンとは注射の名前というだけではなく、血液の中を流れている糖(=血糖)を処理するために大事な役割を果たすホルモンの名前であるというのが正しいところです。外来で「では今度からインスリン注射をすることにしましょう」などと言われると誰しもが慌ててしまいます。
まるで三途の川の渡しを前にして狼狽える気持ちになってしまわれる方もいらっしゃるかもしれません。
インスリン注射と聞くと『それだけは勘弁してください』と話されるのを外来で聞くことは珍しいことではありません。その方がインスリン療法に対して相当に悪いイメージをお持ちなのは間違いないことでしょう。
糖尿病にはいくつかのタイプがあります。その中でも自分の体の中でインスリンというホルモンを作ることができなくなるタイプの場合(1型糖尿病)は、インスリンを注射という手技で体内に入れてあげることで体を動かすエネルギーを無事手にすることが可能になります。
糖尿病の中で最も多いのは2型糖尿病(血糖をタイミングよくかつ効率よく処理することが苦手になってしまった)です。飲み薬だけでは血糖のコントロールがうまくできなくなる時期が来てしまうと合併症(糖尿病で血管が傷み引き起こされる臓器障害)の悪化が心配となります。
そういう時にはインスリンを含む注射製剤を一緒に使ってみることで血糖をコントロールが良くなることもあります。2型糖尿病でインスリン注射をされている人の中には減量を含めて治療を見直すことでインスリンを減らすことができたり、中にはインスリン注射をやめることができる人もいます。
インスリン注射というものをよく知ることで、本当に必要な場合が見えてきます。同様にインスリン注射をやめられる状況についても理解が深まっていくでしょう。
インスリンを含めた注射による治療に悩みや心配のあるようであれば一度外来を受診してみてください。よくわかるように丁寧に説明をいたします。
いろいろある内服薬
糖尿病との診断を受けてお薬を飲む必要が出てきたことを担当医に告げられます。
多くの方が異口同音に口にされます。『一度飲み始めたら薬、やめられないんですよね。。。』確かにおっしゃる通りです、では身も蓋もありませんので少しだけ視点を変えて建設的なお話をさせていただければと思います。